更なる地域精神医療に
貢献したく存じます
和泉丘病院は、昭和38 年に設立されました。そして、微力ではありますが、精神科専門病院として地域医療の一端を担ってまいりました。一心に取り組んできましたが、早いもので平成26年3月28 日に無事50 周年を迎える事ができました。これも、皆様のご支持が無ければ到底叶う事ではありません。私たちの目指す「地域に密着した良質な医療の提供」の病院方針が広く受け入れられたからこそと意を強くしております。
この50 年間について考えますと、精神医学領域での薬物療法の進歩は著しいものでした。統合失調症に対しては抗精神病薬が誕生し、治療の突破口となりました。そして、治療効果を上げ、副作用を軽減するため非定型抗精神病薬にバージョンアップされています。うつ病に関しても、三環系抗うつ薬が適応されるようになり、大きな効果をあげました。その後、安全性や服薬しやすさに焦点が当てられSSRI・SNRI・NaSSA など有用な薬剤が開発されています。また、不安障害、自律神経失調症、不眠などに、緩和精神安定剤(抗不安薬)や睡眠導入剤も広く適応され治療に大いに役立っています。
診断学におきましても、頭部CT やMRI やPET など画像診断で技術革新が為され、また精神科遺伝学など目覚ましく発展しています。疾患分類や心理療法・作業療法等などにおいても長足の進歩を遂げています。
これら精神医学の進化は、精神保健福祉法 理念の「入院医療中心から地域生活中心へ」を現実のものにしつつあります。更に、社会生活への復帰にも貢献しています。
それから、この50 年の間、社会においても大きな変化がありました。少子高齢化もその一つです。2025 年問題への対策として、H 26,6 月に医療介護総合確保推進法が制定され、これから迎える超高齢化社会への取り組みが重要視されています。
今後、認知症症例の加速度的増加も大きな問題となると考えられます。また、医療安全や医療への信頼確保のために、H27,10,1 より医療事故調査制度が施行されています。H27,12,1 より改正労働安全衛生法でストレスチェック制度が開始されたのも大きなトピックでしょう。
以上、概観しますと、「現代社会は精神医学に大いに期待している」という事が言えるでしょう。私たちの病院も期待に応えるよう、職員の更なるレベルアップや施設の充実に取り組みたいと思っています。
今、50 周年の大きな節目を迎える事ができ、皆様への感謝と共に、良質の医療提供の責務をひしひしと感じております。この機会に初心に戻り、地域医療に一層貢献する所存です。
引き続き、和泉丘病院へのご指導ご鞭撻を宜しくお願いいたします。